2005年8月30日
ドアプロジェクト代表
畑村洋太郎
“ドア”に潜む危険と安全への指針を得ることを目的として,
畑村が一私人として昨年6月に立ち上げ,実行して参りました“ドアプロジェクト”ですが,
プロジェクトで得られた知見を皆さんにお伝えするとともに,将来の安全のための指針を紹介したいと考え,
「ドアプロジェクトシンポジウム~ドアに潜む危険と安全への提言~」を,
3月27日には東京,六本木ヒルズにて,また7月3日には(財)大阪科学技術センターにて,開催致しました.
東京では約400人,大阪では約100人とどちらにも多数の皆様にご参加戴き,誠にありがとうございました.
長時間に亘るシンポジウムであったにもかかわらず,
真摯な姿勢で熱心に聴講下さいましたことに心より感謝申し上げます.
また,アンケートにご記入いただきました皆様の貴重なご意見は,全てドアプロジェクトメンバーにも伝え,
今後の指針として役立てていく所存です.
なお,下記にアンケートの結果をグラフ化してみました.
“基調講演,実験報告”では「大変良かった」と「良かった」と感じた方の両方を合わせますと,
東京,大阪双方とも約85%になっており,シンポジウムの内容に十分満足して戴けたと感じております.
東京のみで行った“パネルディスカッション”でも「大変良かった」と「良かった」とのご意見が多く,
異分野のメンバーで内容の充実したディスカッションができた証しと感じております.
また,大阪での“調査,総括”では,東京でのシンポジウム後に3ヶ月間熟考してきた結果,
より深い内容のご報告が出来たことで,皆様にもドアプロジェクトで得られた大切な知見を
しっかりご理解戴けたのではないかと思っております.
昨年3月に六本木ヒルズで男児が自動回転ドアに挟まれて死亡するという痛ましい事故を契機に,
事故の処置において責任追及と原因究明とが混同されるために,
真の原因究明とそれによって得られた知識の伝達が行われず,同じ失敗が繰り返されている現状を何とかしたいと考え,
この1年間活動して参りましたが,“ドアプロジェクト”は7月の大阪シンポジウムをもちまして終了致しました.
今後は失敗学会ホームページでの10回の連載記事の掲載,
9月に予定されているアメリカ機械学会(ASME)での発表等の情報発信を行う予定です.
今回シンポジウムに参加してくださった皆様が,
“ドアプロジェクト”で得られた知見を今後の仕事に生かし,
より安全な社会の実現のために将来に亘って活動してくださることが,
畑村はじめ1年間ドアプロジェクトに関わってきたメンバー全員の願いです.
また,皆様に少しでも多くの方々にシンポジウムで御理解戴いた知見を伝えて戴くことによって,
より多くの方が技術の更なる前進に貢献されることになれば,望外の喜びです.