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失敗体験NW、「足尾銅山」見学会 (Part 1)


日 時: 2010年10月10日(日)
場 所: 足尾精錬所(周辺)
         古河橋・掛水倶楽部・足尾歴史館・足尾銅山観光・大間々(まち散策)
参加料:10,000円(税込) -バス、トロッコ列車、各館入場料、昼食、保険料込み
参加者:飯野謙次, 中尾政之, 渡辺久剛, 石山秀雄, 斉藤貞幸, 上原龍, 浅野良雄,
         児玉 仁, 加藤 豊, 齋藤 稔, 平 真寿美, 酒井雄二, 平 和昭,
         Takaki Carla, 永濱 健

行程     []内価格は参加料に含む。記録のため記している。
07:20 池袋駅西口 東京芸術劇場前 集合
07:30 バス乗車、出発
10:30 足尾精錬所(周辺)
11:15 古河掛水倶楽部 [300円]
11:45 足尾歴史館 見学[350円]及び昼食 [1000円]
13:00 足尾銅山 観光[800円]
14:25 足尾駅→大間々駅遊覧
          [トロッコわたらせ渓谷号整理券500円+乗車券900円。
16:10 大間々 散策
20:00頃 池袋駅前ロータリー解散

20:00 懇親会、養老の滝、1,800円
 失敗体験ネットワークは、『事故や失敗、またそれらの原因の保存を具現化し、それら保存物による 失敗に学び、再発も防止する文化の醸成を目指す』。
 平たく言えば、やらかした失敗の痕跡はなるべく残し、またそのような痕跡は出かけて自分の眼で見ることである。

 記録を調べると、メンバーの浅野良雄さんに足尾環境学習センター訪問の記録を 失敗体験名鑑に記していただきたいと同分科会が依頼したのが2005年のことである。 浅野さんには地の利がある、と言っても車で1時間くらいかかってしまうのだが、というのが理由だった。
 それが、2007年から世界遺産登録を目指した日光市の努力が新聞等で取り上げられて話題になり、 またぞろ、足尾銅山を見たいとふつふつと体験熱が湧いてきた。ちなみに2006年3月20日、 今市市・日光市・藤原町・栗山村と足尾町が合併したのが現在の日光市だ。

 合併はしたものの、栃木県には 37の商工会があり、旧行政区の名称を冠するものの中に足尾商工会がある。 その電脳博物館、 “エコミュージアムあしおの創造” を見ると2002年度から世界遺産を意識した活動が続けられている。東照宮など日光の社寺は、 既に世界遺産として登録されているがそれに足尾銅山も加えようという意気込みだ。 サイト足尾銅山の世界遺産登録をめざしてにその足跡が記されている。

 明治になって足尾銅山の経営に乗り出した古河市兵衛の流れをくむ 古河機械金属の環境・社会報告書2008は、足尾銅山の発見は1550年ごろとしている。しかし、銅山として機能しだすのは、 1610年以降に江戸幕府の経営となってからのようだ。その後不況に陥るが、1877年に古河市兵衛がこれを引き受け、1881年に大きな鉱脈を発見、 その後生産量を急速に増大、1916年には足尾人口も4万近くに達した。古河財閥の母体である。

 この急激な発展はしかし、銅の精錬にともなう有害物質による鉱毒事件を引き起こし、 さらに周りの山林の乱伐による自然破壊と渡良瀬川の洪水による下流域への被害拡大をもたらした。 中学あるいは高校受験を経験した人は“田中正造”という名前が脳細胞のどこかに引っかかっているだろう。 この明治・大正を生きた政治家は、1891年から1913年に死亡するまで、その生涯を鉱毒反対運動にささげた。

 足尾銅山は1973年に閉山するまで2つの世界大戦を挟んで、繁栄、自然破壊、鉱毒被害、裁判、暴動、 公害対策の工程開発など、日本の近代化を振りかえる上で、その工業化の縮図を見るような遺産と言えよう。 1912年に銅を運ぶことを目的として開通した足尾鉄道足尾線も今は、 わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線とおしゃれな命名を受けて、観光に訪れる人たちに憩いを与えている。


 今回はニュー東京バスの21人乗りをチャーターした。集合は池袋駅西口、東京藝術劇場前に7:20。 前日は大雨で、日程を延期できない我々は旅程を心配したが、 その大雨と朝の曇り模様が我等一行にとってはありがたいものとなった。三連休の中日とあって、 車の混雑を覚悟してのツアー見学だったのが、すいすいと予定通りに進行が進み、 帰りはツアーオーガナイザの機転もあって高速の混雑部を避け、夜の8時前には池袋に帰ることができた。

 今回のツアーは、失敗体験NWの渡辺久剛さんと会計の石山秀男さん、 それに(ほぼ)地元の浅野良雄さんのアレンジで実現した。とにかく集合時刻に遅れないように出発点にたどり着けば、 後はギアをニュートラルに入れれば良いのが心地よい。それに自前のツアーだから発生する人件費は運転手さんの分だけ。 本当に“格安”などの形容詞をつけるのもおかしいような実費割り勘見学会である。

 予定通り清滝インターで高速を離れたバスは間藤(まとう)駅で浅野さんを拾い、 まず最初の目的地古河橋に向かった。
 古河橋は、その前身 1885年架設の直利橋(なおりばし)が火事で燃えた後に架けられた鋼鉄製、木床版桁橋である。 ただし、ドイツ製とあるので当時の日本にはこのわずか50メートルに満たないこのシンプルな橋を架ける技術がなかったのがわかる。
 橋は、その木床が痛んでいるためか、立ち入り禁止である。橋を渡ったところに見えるのが足尾精錬株式会社足尾製作所、 古河機械金属株式会社足尾事業所である。門には2つの銅製看板が掲げられていた。 こちらも立ち入り禁止だが、少し入ったところに『撮影禁止』の看板が睨みを効かせていた。
(飯野謙次)

(つづく)
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