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Forum 193 on the Net ご報告
大阪分科会


中村 隆文
     
飯野 謙次

2022年11月12日(土)12:30-16:30
on the Net with Zoom


本記事下方に、梨泰院(イテウォン)事故に関するグループ考察があります。

一般: 1,000円
失敗学会員・ゲスト: 500円
大阪分科会員: 無料

参加者(会員):飯野謙次,石井健児,大澤勲,鎌田寛人,川路明人,木田一郎
                  北村兼一,佐々正光,三田薫,田中健一郎,辻岡啓司,豊高勝
                  中村隆文,福田晃,松野昭弘,宮内祐介,山岡修(50音順)
                  合計17名

フォーラムの様子


記録

11月12日(土)
12:30 受付開始
13:00 講義1【中村 隆文】
14:00 休憩
14:30 講義2【飯野 謙次 副会長】
15:30 休憩
16:00 大阪分科会活動(平松不在)
16:30 終了

講演者:中村 隆文
演題:『著書「システムの失敗を克服するメタシステムアプローチ」刊行記念講演』
内容: リスク管理=失敗の回避のためのシステムを如何に立ち上げるか、有効なモデルを模索し、方法論を展開。IT技術領域にそれらの導入を試みるなかで、リスク事前対策に重きを置くメタ理論を提示する。

講演者:飯野 謙次
演題:『内向型と外向型-沈考かブレストか』

内容: スタンフォード大学設計グループ、畑村塾等、これまではブレーンストーミングに代表されるグループワークが、相互刺激を励起して創造性を育むと考えてきた。しかし、実例を示しながら、一人静かに考えた方がよいとの証言が出てきた。
さて、私たちはどちらを向けばいいのだろうか。
日本に足りない創造性は、タレント不足が指摘されているが、タレントとは、外向的な人ではないのか。
みなさんと一緒に考えてみたい。

 2つ目の、筆者飯野の講演に先立ち、ある新規入会会員の要望で、韓国ソウル、梨泰院(イテウォン)の雑踏事故について、 どうすれば防げたかの視点で話し合うことにした。
 この事故で巻き込まれてお亡くなりになった方とそのご友人・ご家族には心からお悔やみ申し上げます。

 まず、大方の地形が頭に入らなければ様子がわからない。上図は事故があった近辺の概略図である。「工」の字の縦棒が北の横棒 Iteawon-ro 27ga gilと、南の Itaewon-ro を南北に結ぶ幅3.2メートルの細い路地である。ただし、3.2メートルというのは、ネット記事などに書かれた幅で、Google Earthなどで見ると、道幅5メートルは越える場所もある。
 図中赤丸で示したのが死傷者が出た事故の発生場所、南の薄いピンクで示したのが地下鉄 Itaewon 駅と①~④の出口である。その駅の真上は、片側2車線の広い道路で、人は歩道を歩くようになっている。

 この話し合いを呼びかけた新会員は、人流を規制して、人も車のように片側通行にしてはどうかというご意見だった。ただしこれでは、事故のあった細い通りの両端、T字路のところで思い思いの方向に進みたい人々の衝突が起こって、人流が滞る。

 そこで飯野は、複雑な交差で自動車の流れをスムーズにするラウンドアバウト交差点の要領で、人流をコントロールしたらどうだろうかと提案した。上図では、交差点で右に行きたい人はとりあえず左に回って人流に乗り、自分の進みたい道がやってきたら、ぐるぐる回る人流から離脱する作戦である。しかし自動車道と違って、交差点の真ん中にはアイランドがないので、どうなるかは未知である。

 そうすると、元消防士三田さんが素晴らしい意見を発した。この近辺の人流はすべて一方通行にすることである(上図)。なるほどそういえば、日本でもそういう規制はよくある。筆者も、川崎大師の初詣、千鳥ヶ淵の花見、湯島天神初詣客の入場規制の待ち行列(これだけは実際に列に入ったのではなく、目にしただけ)と、幾度も経験している。さらに地下鉄の協力を得て、①番の出口は閉鎖することである。
 行きたいところがすぐ近くにあっても、一方通行に逆らうことはできない。この規制を有効なものにするためには、要所要所に警官が立たなければならない。

 筆者は25年以上の前の、ソウル市内での体験を思い出した。
 ソウル市庁舎近くのホテルに出張で来ていたのだが、土曜だか、日曜の朝、窓から見ると大変な人が出ていて大きな旗を何本も振っていた。大書された文字を読むことはできなかったが、政府に対するデモ行進のようであった。昼近かったので、近くで見ようとホテルを出て沿道から何気なく見ていたところ、周りの人たちが一斉に駆け出した。ぼっと立っているわけにもいかず、筆者も一緒に駆け出し、明洞(ミョンドン)の路地に駆け込んでいったのだが、周りが霧がかかったように白っぽいなと思ったら、急に鼻と喉がつんと痛み、涙が出てきた。人々はと見ると鼻と口を押さえながら走っている。筆者も、すわ、負けじと走った。
 霧もようやく晴れたところまで出て、走る人もまばらになり、昼食時だったことを思い出して食堂に入った。食べてみたいと思っていた参鶏湯(サムゲタン)を注文した。それでも涙は止まらない。出てきたスープボウルを、泣きながら箸とスプーンで平らげる外国人は、食堂の人にとってはかなり奇異な存在だったに違いない。そして、あれは集まった人たちが暴徒化する前に、当局が人を散らすために催涙弾を打ったのだと気が付いた。後にも先にもない、貴重な体験だと思っている。

 日本と韓国は似ている。韓国の経済規模は日本の半分くらいだが、人口も半分くらいなので、生活レベルは似ている。日本も、過去の事故に学んでここまで来ている。是非とも人流コントロールについて、一緒に学びたいものである。
【飯野謙次】
 


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