失敗事例

事例名称 掘削機(クレーン)転倒事故
代表図
事例発生日付 2000年08月
事例発生地 沖縄県
事例発生場所 モノレール下部工工事現場
事例概要 那覇市内の一般国道58号沿線の「沖縄都市モノレール下部工工事」において、アースオーガ装着式ラフタークレーン(25t)がブームの向きを変えるために旋回している途中、一般国道58号側に転倒した。転倒事故により一般車両2台がブームによって押しつぶされ、運転手1名が軽傷を負った。
事象 オペレーターは、クレーンが他の作業の支障となると考え、ブーム(17.5m)の向きを変えようと旋回した。旋回を始めた瞬間、クレーンの前方側が浮く感じを覚え、直後にバランスを失い、一般国道58号側に転倒した。一般車両2台を押しつぶした上、下り全4車線及び上り1車線を転倒したブームによって塞いだ。
経過 1.旋回操作前、縮めていたアウトリガーを延ばしたが、作業スペースが十分にあったにも関らず、最大限まで延ばさなかった。
2.ブームを伸ばしながらリーダーを地上から引き上げ(1.0m程度)静止させた。
3.クレーン本体側へブーム角度を調整しながらゆっくり旋回した。
4.旋回を始めた瞬間、前方側が浮く感じを覚え、直後にバランスを失い転倒した。
原因 1.アウトリガーを最大限に張り出すことが可能であったにも関らず、最大限に張り出さなかった。オペレーターは、アウトリガーを3.7m張り出したつもりであったが、実際は3.2mしか張り出されていなかった。
2.オペレーターは、国道側の転倒防止のための過負荷防止スイッチを入れるべきところ、クレーンの車両本体が前後逆を向いていたため、反対側の過負荷防止スイッチを操作してしまった。
3.クレーン操作前に、アウトリガーの張り出し状況及びアウトリガーの接地状況(4点のうち1点が接地していなかった)等の安全確認を怠った。
対処 1.発注者は、事故対策本部を設置して事故状況の把握にあたった。また、他工事現場に対して、「安全管理の徹底について」を通知するとともに、緊急安全協議会を開催して安全管理の徹底を求めた。さらに、合同パトロール、モノレール建設工事災害防止大会等を実施した。
2.事故を起こした請負者は、当該工事の同種作業について、以下の事項の周知・徹底を図った。
・建設機械の作業場所の確認・建設機械の種類及び能力の把握。
・作業員の適正な配置。
・作業員の指示系統の確認。
・作業員一人一人の作業内容の把握・毎朝の作業ミーティングによる作業内容の確認。
・作業開始前の作業内容の再確認。
知識化 1.旧式の建設機械の場合、操作方法の再確認が必要である。
2.集中力が欠けている状況で作業を行うと、思わぬ事故につながる。
背景 1.通常であれば、夜間に一般国道58号の1車線規制を行い、アウトリガーを十分張り出して行う作業であった。
2.盆休み明けの作業であり、オペレーターは、集中力が欠けた状態であった。
3.事故当時の風速は、1.0m/s以下であり問題はなかった。
4.オペレーターは、現場経験19年、移動式クレーン運転士資格取得後の実務経験は12年であった。
後日談 平成11年以降に製造されたクレーンでは、全てのアウトリガーの張り出し状態をコンピュータが検出し、パネル表示で確認できるようになっている。
よもやま話 当時のクレーン則70条の5では、「アウトリガーを最大限にとれない場合は、十分な検討を行う必要がある」となっている。
当事者ヒアリング 操作前、ラフタークレーンの周りを一周し、運転席でクレーン本体の水平確認を行い、エンジンを起動した。
データベース登録の
動機
1.旧式機械の取り扱いへの注意喚起。
2.現道付近でのクレーン作業における安全確認の重要性。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、作業者不注意、価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、誤判断、誤認知、勘違い、使用、運転・使用、機械の運転・操縦、定常動作、危険動作、安全不備な動作、身体的被害、負傷、軽症、破損、破壊・損傷、破壊・破断、社会の被害、社会機能不全、インフラ機能不全
死者数 0
負傷者数 1
物的被害 一般車両2台(通行中の第三者)
社会への影響 人身・物損の損害だけでなく、通勤時間帯だったので、周辺一帯が大渋滞になったため、出勤及び飛行機利用者に対する影響も大きく、新聞等で大きく取り上げられた。
分野 建設
データ作成者 溝口 宏樹 (国土交通省国土技術政策総合研究所)