失敗事例

事例名称 メンテナンス時の負荷とクリープで継手の締付けボルトが破損した
代表図
事例概要 高温で使用される装置で、継手の締付けボルトが破損した。高温下での運転中のクリープだけでなく、メンテナンス時の分解・組立による増締めの繰り返しが、クリープを増長させたためである。
事象 高温で使用される装置で、継手の締付けボルトが破損した。
経過 装置を稼動していたところ、継手の締付けボルトが破損した。この装置は高温の環境下で使用されていた。また定期的なメンテナンスで、この締付けボルトは分解・組立による増締めが行なわれていた。
原因 高温下での運転中のクリープだけでなく、メンテナンス時の分解・組立による増締めの繰り返しが、クリープを増長させたためである。クリープとは、通常変形を生じないような低い荷重(応力)の下で、図2のように、材料が時間とともに変形し、やがて破壊する現象で、図3のように、高温ほど発生しやすく、破断強度は急激に低下する。
知識化 クリープのひずみは、荷重や温度とともに変化する場合が多く、図2のように、遷移(第1期)、定常(第2期)、加速(第3期)域を経て進行することが多い。設計許容応力として、クリープ強度(一定時間に一定のクリープ伸びを生じる応力)、クリープ破断強度、引張り強さあるいは耐力をそれぞれの安全率で除した値の最低値を用いる。図4はその一例である。
背景 高温で用いる大型構造物では、定常熱応力によってクリープ許容応力を評価するだけでなく、急に冷却した時に生じる非定常熱応力がもたらす残留応力も評価する。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、調査・検討の不足、事前検討不足、ボルト・ナット、使用、運転・使用、使用、保守・修理、不良現象、機械現象、継手、熱、高温、熱疲労、破損、変形、熱変形
情報源 創造設計エンジンDB
日本金属協会編、金属便覧
マルチメディアファイル 図2.クリープ曲線
図3.21/4Cr-Mo鋼管のクリープ破断強さ
図4.設計許容応力の求め方
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)