失敗事例

事例名称 ブラケットの変形で被締付物のゆるみが発生した
代表図
事例概要 ブラケットを介してボルトで締結した被締付物のゆるみが発生した。ブラケットの剛性が高く、しかもブラケットと被締付物の隙間が大きかったため、ブラケットと被締付物の隙間に応じた変形荷重分だけ接合力(有効締結力)が低下した。対策として、ブラケットの板厚を薄くするとともに隙間を小さくし、接合力を確保した。
事象 ブラケットを介してボルトで締結したブシュ付きロッドのゆるみが発生した。
経過 図1のような、ブラケットを介してボルトでブシュ付きロッドを締結する構造を採用した。装置を稼動したところ、ブシュ付きロッドのゆるみが発生した。
原因 ブラケットの剛性が高く、しかもブラケットと被締付物の隙間が大きかったため、ブラケットと被締付物の隙間に応じた変形荷重分だけ接合力(有効締結力)が低下した。
対策 ブラケットの板厚を薄くするとともに、ブラケットとブッシュ付きロッドとの隙間を小さくし、外力に対して必要な接合力を確保した。
知識化 剛性の高いブラケットには、隙間に応じた締結力損失があり、この時は隙間を極力小さくするように、加工精度を向上する必要がある。設計では、ブラケットの剛性を必要最低限の剛性にしておかないと、隙間を小さくする必要変形力が大きくなってしまう。
背景 本事例の構造では、被締付物(ブッシュ付きロッド)とブラケットの接合力F'を、外力Pがかかった時にその外力の方向に締付物がずれないように、F'>P÷μ(μは被締付物とブラケットの静摩擦係数)にする必要がある。しかし、今回はブラケットの剛性が高く、隙間δが大きかったため、ブラケットとブッシュ付きロッドの隙間δに応じた変形荷重F"が別に必要となり、その結果、接合力F'(ここでは有効締結力)が低下してしまった。すなわち、F'=FーF"<P÷μとなったのである(Fはボルト軸力)。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、仮想演習不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、ブラケット、緩み
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図1.ブラケットの変形が軸力を減らした
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)