失敗事例

事例名称 切替弁の不良により、ポンプが破損
代表図
事例概要 図2のような、アクチュエータをパイロット切替弁で操作する回路で、ポンプの亀裂が生じ、油漏れが発生した。パイロット切替弁スプールがONからOFFに切り替わる時、スプールがオーバーランし、ポンプ吐出側が閉じ込み状態となり、ポンプの許容圧力を超えるサージ圧が発生したためである。対策として、スプールを動かすパイロット回路に絞りを追加し、スプールのオーバーランを防止した。
事象 アクチュエータをパイロット切替弁で操作する回路で、ポンプの亀裂が生じ、油漏れが発生した。
経過 アクチュエータをパイロット切替弁で操作する回路で、ポンプから油漏れが発生した。ポンプケースの吐出側に亀裂が認められた。吐出側の圧力を測定したところ、パイロット切替弁をONからOFFに切替えるとポンプの許容圧力を超えるサージ圧が測定された。
原因 パイロット切替弁スプールがONからOFFに切り替わる時、スプールがオーバーランし、ポンプ吐出側が閉じ込み状態となり、ポンプの許容圧力を超えるサージ圧が発生したためである。
対策 スプールを動かすパイロット回路に絞りを追加し、スプールの移動速度を遅くして、オーバーランを防止した。
知識化 液圧回路には通常、リリーフ弁が設置してあるので、リリーフ弁の設定圧以上の圧力にならないように考えがちである。リリーフ弁には応答遅れがあり、本例のような高いサージ圧が発生する場合がある。
背景 サージングとは船の前後揺れのことである。つまり、本例のように出口を急に閉じてしまうと、流れていた流体が出口にぶつかって反射し、波として戻ってくる。水道も配管によっては、蛇口を閉じたときサージ圧による音を聞くことがある。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、誤判断、誤った理解、調査・検討の不足、仮想演習不足、不良現象、機械現象、構造の問題、流体、弁、過負荷、応力集中、割れ発生・成長、材料的要因、物質名リスト、機械油、漏洩
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.サージ圧発生メカニズムとその対策
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)