失敗事例

事例名称 加湿空調する工場で、結露により火災報知器が誤作動
代表図
事例発生場所 工場
事例概要 加湿空調する工場で、冬季に火災報知器を誤作動させた。図2.のように、2階天井面から屋根裏にリークした室内空気が夜間屋根に冷やされて結露し、火災報知器を短絡させたためである。また、オーバーハングしている部分の床でも結露して水がたまった。壁・屋根に断熱材を入れて結露を防止した。
事象 冬季、加湿空調する工場が稼動中、突然火災報知器が作動した。火災報知器内に水が浸入し短絡していた。また、オーバーハングしている部分の床も水がたまったいた。
経過 加湿空調する工場を設計した。冬季のある日、工場の稼動中に突然火災報知器が作動した。火災は見当たらず、調査したところ、火災報知器内に水滴があり、短絡していた。またオーバーハングしている部分の床にも水がたまっていた。
原因 2階天井面から屋根裏にリークした室内空気が夜間の屋根に冷やされて鉄骨部に結露し、火災報知器内に水が浸入して短絡させたためである。また、オーバーハングしたコンクリート床も外気に冷却されて、結露した。
対策 壁・屋根に断熱材を入れて、結露を防止した。
知識化 結露を防ぐには冷所を作らねばよく、建物では外気との接触面に断熱材を入れることがキーになる。しかし、実際上建物中を同じ湿度に保つことは不可能であり、結露を完全に防ぐのは困難である。そこで、結露が生じても問題を生じないようにするのが、次善のコンセプトである。なお、結露は冬季のみならず、梅雨時、高湿度で冷所に錆が発生することも注意する必要がある。
背景 夏期の湿度の高い朝にクーラーを入れると、図3のように、ハードディスク装置の空気も冷やされて、水蒸気が飽和結露し、ディスクとヘッドが吸着して、電源を入れても回らなくなる。ハードディスク装置はクリーン度を保つために、外部とはフィルタを通して結がっているが、そのフィルタの目が小さいため、湿度は外部と同じになるには時間がかかる。使用時は、ディスクの回転モーターの発熱で空気は熱せられ、湿度は低くなるので問題ない。問題は使用直前である。断熱材やヒータをつければよいがコストがかかる。また露点の低いガスを封入してもよいが、シールにコストがかかる。実際は、水分が蒸発するのを待つという、消極的で低コストの対策をとっているが、それで解決することが多い。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、予期せぬ使用環境、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、天候変化、定常動作、誤動作、材料的要因、気体、空気、水分、水の浸入、不良現象、電気故障、短絡
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.工場の室内で結露した
図3.ハードディスク装置の中で水分が結露した
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)