失敗事例

事例名称 PC桁の緊張作業中、PC鋼より線が飛び出し、作業員の左足大腿部に刺さった。
代表図
事例発生日付 1997年10月24日
事例発生地 長野県長門町
事例発生場所 道路改良工事にともなう橋梁新設工事現場
事例概要 PC桁(プレストレストコンクリート)の緊張作業中、12本のPC鋼より線を固定している楔のひとつが滑り、PC鋼より線が飛び出し、反対側ジャッキ後方にいた作業員の左足大腿部に刺さった。
事象 緊張作業中のPC鋼より線が飛び出し、作業員の左足大腿部に刺さった。
経過 PC桁に配置されている4本のPCケーブルのうち2本のPCケーブルは緊張作業が終了し、3本目のPCケーブルを緊張していた。最終緊張力に近づいた時、緊張ジャッキのセットの不具合から緊張ジャッキのストロークが足りなく、所定の緊張力、伸び量に達しないことが判った。この為、一旦ケーブルを定着し再緊張を行うこととした。
再緊張のため緊張ジャッキをセットし、圧力を上げ始めたところ、一方の緊張ジャッキで12本のPC鋼より線(φ15.2mm)をそれぞれ固定している楔のひとつが滑り、PC鋼より線1本が反対側に飛び出し、反対側緊張ジャッキの後方にいた作業員の左足大腿部に刺さった。
原因 ・PC鋼より線を緊張ジャッキに固定する楔の取り付けが、手順書にもとづいて正確に行われていなかった。
・被災者が危険な位置で作業していた。(緊張ジャッキの後方)
対策 ・緊張作業の方法を再教育する。
 1.作業手順の再教育。
 2.緊張前の準備、点検。
知識化 ・作業手順の遵守。
・緊張作業中、緊張ジャッキ後方は立ち入り禁止。
背景 作業の慣れからくる手順書無視の行為があった。
後日談 今回の緊張作業では、互いの緊張ジャッキ操作者がジャッキセットの早さを競い合っていた傾向があり、急ぐあまり作業手順をおろそかにした。
当事者ヒアリング 一方の緊張ジャッキが既にセットを完了していたため、急ぐあまり作業手順がおろそかになった。
データベース登録の
動機
類似事故が多い!! 死亡事故を引き起こしかねない危険な作業である!!
シナリオ
主シナリオ 手順の不遵守、手順無視、教育不十分、価値観不良、安全意識不良、危険な位置での作業、定常操作、手順不遵守、手抜き行為、身体的被害、負傷
情報源 「プレストレストコンクリート建設業協会」・・・安全環境部会
死者数 0
負傷者数 1
物的被害 不明
被害金額 不明
全経済損失 不明
分野 建設
データ作成者 山崎 英志 (ドーピー建設工業株式会社)