失敗事例

事例名称 公共下水道改築事業の実施に当たり、終末処理場に係る補助率の適用を誤ったため、補助金が過大となっているもの
代表図
事例発生日付 1997年
事例発生地 青森県弘前市
事例発生場所 市役所
事例概要  沈砂池設備の改築において、国庫補助金の補助率の適用を誤ったため、国庫補助金6,900,000円が過大に交付され、不当と認められた。
事象  公共下水道事業における終末処理場の処理施設及びこれを補完するポンプ施設その他主要な補完施設の設置又は改築に係る国庫補助金の額は、下水道法施行令(昭和34年政令第147号)等により、次のとおりとなっている。
(ア) 
 1  用地の取得又は造成、
 2  処理施設を補完する流入下水の揚水ポンプ場施設、管理棟等の設置又は改築、
 3  調査、測量、試験及び設計については、その費用に補助率2分の1を乗じて得た額
(イ) 上記(ア)以外の施設の設置又は改築については、その費用に補助率10分の5.5を乗じて得た額
 沈砂池設備は、処理場に流入してきた下水をポンプで処理施設に送る前にあらかじめ下水中の土砂等を除去するもので、建設省が発した「下水道法施行令の一部を改正する政令の運用について」(昭和49年都下事発第20号)の通達によれば、前記(ア)の流入下水の揚水ポンプ場施設に含まれるものとされていることから、本件沈砂池設備の改築事業の補助率としては2分の1を適用すべきところ、誤って、補助率として10分の5.5を適用し、国庫補助金の額を75,900,000円と算定していた。
経過 ・青森県弘前市は、公共下水道の終末処理場改築事業の一環として処理場の機能を確保するため、平成9年度に老朽化した沈砂搬出機、ホッパ等の沈砂池設備の改築を事業費138,000,000円(国庫補助金75,900,000円)で実施した。
・本件処理場の他の設備の改築事業はすべて補助率10分の5.5の適用対象であった。
・終末処理場に係る補助率の適用を誤った。
・適正な補助率2分の1を適用すると、国庫補助金の額は69,000,000円となり、前記の国庫補助金額75,900,000円との差額6,900,000円が過大になっていて、不当と認められた。
原因  市の下水道法施行令(昭和34年政令第147号)等について知っている人が少なかった、もしくは、いなかったため生じたと考えられる。
対策 ・正しい知識の取得
・複数の有識者の確保
知識化  過去の同様の事業は参考にする程度でとどめよ!
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、勉学不足、無知、知識不足、思い込み、定常動作、誤動作、計算ミス、起こり得る被害、潜在危険、税金無駄遣い
情報源 平成10年度決算検査報告(会計検査院)
被害金額 不当と認められる国庫補助金交付額 6,900,000円
分野 建設
データ作成者 中川 雅史 (東京大学)
國島 正彦 (東京大学)