失敗事例

事例名称 型枠支保工の倒壊
代表図
事例発生日付 1995年08月12日
事例発生地 山形県上山市
事例発生場所 地上5階建て鉄筋コンクリート造建物の建設工事現場
事例概要  地上5階建て、鉄筋コンクリート造建物の建設工事中に型枠支保工が倒壊し、当該部位のスラブ上で打設作業に従事していた作業員6名全員が、階下の4階及び車路スロープ部まで型枠部材と共に墜落し、被災した。その原因は、予め作成した標準組立図では対応できない高さの型枠支保工を使用したため、その型枠支保工が座屈したことである。
事象  地上5階建て、鉄筋コンクリート造建物の建設工事現場で、5階のコンクリート打設作業を行っていた。打設個所は小梁を境にして階高が異なっており、小梁の片側は事前に施工した部分と同様の階高であったが、小梁の反対側は、下階(4階部分)が車路スロープとなっており、階高が他の部分よりも高くなっていた。小梁を境に階高が低い側のコンクリート打設を行った後、階高が高い残り部分のコンクリートを打設していたところ、突然小梁の箇所が陥没し、打設部分のスラブが抜け落ちた。その結果、当該部位のスラブ上で打設作業に従事していた作業員6名全員が、階下の4階及び車路スロープ部まで型枠部材と共に墜落し、被災した。
経過  この現場においては、予め標準化された組立図が作成されていたが、倒壊した箇所を除いてこの標準組立図の適用範囲内であり、すでに大部分の施工が完了していた。しかし、倒壊した箇所は、コンクリートを打設する階高(型枠支保工の高さ)が、予め作成した標準組立図で想定していた高さよりも高く、範疇外のものであった。このような状況にもかかわらず、型枠支保工の安全性を十分に検討せず、標準組立図のまま施工されていた。
原因  標準組立図の範疇外であるにもかかわらず、型枠支保工の安全性を十分に検討せず、標準組立図のまま施工されていたこと。および、その結果として、コンクリート荷重が型枠支保工の耐荷力を上回ったためその型枠支保工が座屈したこと。
対処  型枠支保工の安全性を検討し、倒壊しないように補強した。
対策  標準組立図を作成した場合、適用できる構造を明確にし、適用できない場合には安全性を十分検討する必要がある。
知識化  建設現場における作業効率促進のため、施工方法の標準化が行われるが、適用できない場合に安易に流用せず、事前に他の安全な方法を検討し採用する。同様に、設計変更などで建造物の構造が変化した場合にも、そのまま工事を行わず安全性を検討する。
背景 ・大部分が標準組立図の適用範囲内であったが当該箇所のみ範疇外であった。
・強度の検討なし。
・安全管理体制の不備。
・型枠支保工組立後の点検が形式的。
データベース登録の
動機
仮設構造物の安全性が確認されていない状況での倒壊災害が多いため。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、環境調査不足、使用環境調査不足、製作、ハード製作、型枠支保工組立、破損、破壊・損傷、座屈、破損、大規模破損、倒壊、身体的被害、人損、落下、身体的被害、負傷
情報源 http://www.jaish.gr.jp (安全衛生情報センター)
死者数 0
負傷者数 6
物的被害 型枠支保工
マルチメディアファイル 図2.支保工倒壊事故
分野 建設
データ作成者 大幢 勝利 (独立行政法人産業安全研究所)
國島 正彦 (東京大学)