失敗事例

事例名称 エアバッグガス発生剤の製造作業中の摩擦熱による爆発
代表図
事例発生日付 1991年06月27日
事例発生地 兵庫県 揖保川町
事例発生場所 化学工場
事例概要 ガス発生剤を製造するため、アジ化ナトリウムと酸化銅を混合機に投入し運転を始めた。混合機は内部軸受け型のため、混合物の破砕品が軸受けの隙間に入り込み摩擦熱を発生させた。その熱で混合物が着火した。
事象 自動車のエアバッグ用ガス発生剤の製造工場で、アジ化ナトリウムと酸化銅を混合機に投入しブレンド中、突然爆発が起こった。
プロセス 製造
単位工程 撹拌・混合
単位工程フロー 図2.単位工程フロー
物質 アジ化ナトリウム(sodium_azide)、図3
酸化銅(copper oxide)、図4
事故の種類 爆発
経過 アジ化ナトリウムの粉砕品と酸化銅を1:1の割合で混合機Vブレンダーに投入し、混合を開始した。混合中に突然爆発が起こった。
原因 混合機Vブレンダーは内部に回転軸受部があり、そこのグランドパッキンと回転軸摺動部の隙間に混合物が入り、摩擦熱で着火した。
対処 公設消防の消火作業
対策 混合機を内部軸受けのないタイプに変更する。
知識化 混合機、攪拌機で軸受けが内部物質と直接接触するタイプは、軸受けの隙間にその物質が入り込む。摩擦を起こすような物質だったら発熱対策が必要になる。
背景 混合機の選択ミスであろう。混合物が粉化すれば、内部軸受けの隙間に入ることは十分考えられ、異物をかみこめば軸受け部で発熱する。実際の使用中の状況を考えられなかったことが本質的な問題であろう。
データベース登録の
動機
軸受け部に固体が入り込んで起こった摩擦発熱の事故例
シナリオ
主シナリオ 価値観不良、安全意識不良、リスク認識不良、調査・検討の不足、仮想演習不足、機械構造の影響、計画・設計、計画不良、設計不良、使用、運転・使用、機械の運転・操縦、不良現象、機械現象、異物の侵入、不良現象、化学現象、異常反応、二次災害、損壊、爆発、組織の損失、経済的損失、損害額5000万円
情報源 消防庁、危険物に係る事故事例‐平成3年(1992)、p.102-105
全国危険物安全協会、危険物施設の事故事例100-No.2-(1994)、p.15
死者数 0
負傷者数 0
物的被害 鉄筋コンクリート造製造所40平方m焼損及び爆発により220平方m外壁破損.飛散物が建屋北側の構内、半径40mの範囲に飛散.
被害金額 5,000万円(消防庁による)
マルチメディアファイル 図3.化学式
図4.化学式
分野 化学物質・プラント
データ作成者 小林 光夫 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻、オフィスK)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)