| 事例名称 | 
    石油樹脂プラントにおける廃水中和タンクへの配管取り付け作業中の溶接火による爆発 | 
  
  | 代表図 | 
  
     
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    | 事例発生日付 | 
    1983年11月02日 | 
  
  
    | 事例発生地 | 
    岡山県 倉敷市 | 
  
  
    | 事例発生場所 | 
    化学工場 | 
  
  
    | 事例概要 | 
    石油樹脂装置の廃水処理設備で凝集沈殿槽を付加した。運転を再開し、廃水を循環し、硫酸を少量注入しながら中和とエアレーションを行っていた。その操作中に廃水戻り配管の取り付け工事を行った。 当該工事の仮止め溶接直後に爆発した。エアレーションにより、微量に溶解していたC5留分が蒸発し可燃性混合気を作り、溶接火花で着火した。 | 
  
  
    | 事象 | 
    廃水処理設備に凝集沈殿装置を付加し、最初の運転を行った。当該工事の火気使用工事が未だ行われていたため、運転で発生した可燃性ガスが、工事の火気により着火、爆発した。 | 
  
  
    | プロセス | 
    製造 | 
  
  
    | 単位工程 | 
    廃水・廃油処理 | 
  
  
    | 単位工程フロー | 
    
      図2.単位工程フロー
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    | 物質 | 
    イソプレン(isoprene)、図3 | 
  
  
    | 事故の種類 | 
    爆発 | 
  
  
    | 経過 | 
    1983年10月25日から10月31日にかけて廃水処理設備に凝集沈殿装置の追加工事をした。  11月2日 10:30 当該の中和タンクに廃水を循環しつつ硫酸を少量注入しながら中和とエアレレーションを開始した。 13:00 操作中に当該タンクからの廃水戻り配管の取り付け工事を開始した。  16:23 当該工事の仮止め溶接直後に爆発が起こった。  エアレーション: 液中に空気を吹き込むこと。 | 
  
  
    | 原因 | 
    エアレーションの結果、廃水に僅かに含まれているC5留分が蒸発し、可燃性混合気を形成した。溶接工事の火花で着火、爆発した。 | 
  
  
    | 対策 | 
    1.運転中の設備内での火気使用工事の禁止、工事前の安全確認を徹底する。          2.設備、操作の改善により可燃性ガスの発生抑制を行う。   3.中和タンクに窒素ガス導入等により、可燃性ガスの蒸発、気化を抑制するための設備改善を行う。 | 
  
  
    | 知識化 | 
    1.操業操作と保守、改修とを同時進行させることの危険性を事前に把握することが重要である。                2.”廃水、廃水処理は安全”は思いこみにすぎない。最も危険である。 | 
  
  
    | 背景 | 
    1.油水分離器を経由した廃水は安全だとの思いこみが最大の要因であろう。 2.廃水はプロセスで接触する物質を溶解するので、危険物である意識が重要である。それにもかかわらず、運転を始めたC5系石油樹脂装置の廃水処理設備で火気使用工事を再開したことが問題であろう。 | 
  
  
    | よもやま話 | 
    ☆ 油水分離槽を経由した排水の処理は、火災に対して安全と思いこんでいた。 | 
  
  
    データベース登録の 動機 | 
    危険性物質の生成を予測できなかったことによる典型的な事故だから | 
  
  
    | シナリオ | 
    
      
        
          |  主シナリオ
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      誤判断、誤認知、錯覚、勘違い、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、組織運営不良、運営の硬直化、教育・訓練不足、計画・設計、計画不良、工事計画(スケジュール)、使用、保守・修理、溶接工事、不良行為、規則違反、安全規則違反、二次災害、損壊、爆発、身体的被害、死亡、死者1名、身体的被害、負傷、負傷者3名、組織の損失、経済的損失、タンク破壊
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    | 情報源 | 
    
      高圧ガス保安協会、石油精製及び石油化学装置事故事例集(1995)、p.149-151 
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    | 死者数 | 
    1 | 
  
  
    | 負傷者数 | 
    3 | 
  
  
    | 物的被害 | 
    タンク本体は底板を残して約30m先に飛んだ。 | 
  
  
    | マルチメディアファイル | 
    
      図3.化学式
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    | 備考 | 
    定常作業 | 
  
  
    | 分野 | 
    
      化学物質・プラント
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    | データ作成者 | 
    
  若倉 正英 (神奈川県 産業技術総合研究所) 
  田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻) 
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