失敗事例

事例名称 特殊造形物製造所の火災
代表図
事例発生日付 1989年06月10日
事例発生地 東京都 東村山市
事例発生場所 特殊造形物製造所
事例概要 博物館等の展示物を作成する特殊造形物製造所で、それらの造形物を作成するときに使用する消防法上の危険物を無許可で貯蔵、取扱いしていた。
終業5時間後の無人の状態で出火した。タバコの火の不始末か放火と考えられるが,原因は不明と結論付けられた.
事象 造形物の製作所で作業終了後5時間の無人の時、火災になった。図2参照
プロセス 使用
物質 メチルエチルケトンペルオキシド(methyl ethyl ketone peroxide)、図3
アセトン(acetone) 、図4
事故の種類 火災
経過 作業終了後、施錠せずに帰った。その5時間後に出火し、製作所の中にあった危険物が火災になった。大量に有機過酸化物であるメチルエチルケトンペルオキシド(MEKPO)等を無許可で貯蔵してあった。
原因 放火の可能性もあるが不明と結論付けられた。
対策 消防法上の危険物の危険性を認識すること。具体的には、危険物貯蔵の許可を得ること、建物等の施錠を行い十分な保管管理を行うことである。
知識化 消防法上の危険物を扱っている専門家はそれなりに危険意識、安全対策を考えている。しかし、危険物を使って作業をしている消費者にはそれほどの危険意識はない。どうしたら危険物の危険性を認識させるか大きな課題である。消費者から見れば、接着剤、ペンキなどは危険物と考えていない節もあるが、これらもガソリンほどではないが危険であることを認識させる必要がある。
背景 危険物を無許可貯蔵し、施錠せずに帰宅したことからうかがえるように、消防法上の危険物の危険性への認識不足があった。そのため無許可で多くの種類の危険物を貯蔵、取り扱っていた。MEKPO、アセトン、その他石油類が多量に貯蔵されていたことが、火災後にわかった。
よもやま話 この事故は、消防法上の危険物に関連するものなので、敢えて消防法上の危険物とした。消防法で規制されない危険な物質も多数あるので、日常生活で使用する全ての危険な物質の取扱いに対する注意も必要であろう。
データベース登録の
動機
一般消費者が危険物の取扱いに無関心な例
シナリオ
主シナリオ 組織運営不良、管理不良、危険物取扱いの管理なし、無知、知識不足、計画・設計、計画不良、適切な保管場所なし、不良行為、規則違反、法規違反、二次災害、損壊、火災、組織の損失、経済的損失、直接損害額約6千万円
情報源 消防庁、危険物に係る事故事例-平成元年(1990)、p.32、362-363
負傷者数 1
物的被害 作業所1棟(433平方mのうち293平方m)焼損.造形物,造花,ブロンズパネル,書籍,貯蔵危険物のメチルエチルケトンペルオキシドやアセトンを焼損.
被害金額 6217万円(危険物に係る事故事例)
マルチメディアファイル 図2.設備等の概要図
図3.化学式
図4.化学式
分野 化学物質・プラント
データ作成者 古積 博 (独立行政法人消防研究所)
田村 昌三 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 環境学専攻)