失敗事例

事例名称 エンジントラブルからコントロール不能になったローダーが従業員を跳ねた
代表図
事例発生日付 2002年01月12日
事例発生地 米国、ワイオミング州、キャンベル郡、ギィレットから約13マイル北西
事例発生場所 砂利採掘所
事例概要 2002年1月12日、ディリーピット砂利採掘所(山を切り開いてスコリアと呼ばれる火山岩滓を採掘する現場)にて、ローダーを運転していた従業員がエンジンのトラブルから、ローダーのコントロールが出来なくなり、他の従業員を跳ねた。その時、跳ねられた従業員は、ローダーとその従業員が使用していたトラックに挟まれた。他の従業員によって被害者が発見され、近くの病院に運ばれたが死亡。この事故の原因は、ローダーのサービス・ブレーキ・システムに対して、必要とされているブレーキ・システムの検査と、その維持等を含む作業手順書が作られていなかったことと、ブレーキ・システムの定期検査が行われていない為に起こったと見られている。
事象 2002年1月12日、ディリーピット砂利採掘所にて、ローダーを運転していた従業員がエンジンのトラブルから、ローダーのコントロールが出来なくなり、他の従業員を跳ねた。後、跳ねられた従業員は、ローダーとその従業員が使用していたトラックに挟まれた。他の従業員によって被害者が発見された後、近くの病院に運ばれたが死亡した。
経過 2002年1月12日、午前9時30分頃、一人の従業員がローダーのバケツに完成品を積み、それを傾斜した蓄積原材置き場まで運転し、ローダーをバックからその原材置き場に入れようとした際、エンジンが動かなくなり、ローダーの操縦が不可能となった。その時点でサービス・ブレーキを施したが、ローダーは停止しなかった。その後、ローダーは約200フィート後方へ進み、トラックにぶつかり停止。その間、ローダーは被害者(A氏)を跳ね、被害者は跳ねられたローダーと作業に使用していたトラック間に挟まれた。ローダー停止後、運転者は、被害者が倒れているのを発見。オフィスに緊急連絡。数分後、緊急時のアシスタントが到着。被害者は現場近くの病院に運ばれたが、死亡。
原因 この事故の原因は、ローダーのサービス・ブレーキ・システムに対して、必要とされている検査と、その維持等を含む作業手順書が作られていなかったことから、ブレーキ・システムの定期検査が行われていない為に起こったと見られている。
対処 被害者が倒れているのが発見された際に、発見した従業員がオフィスに連絡。緊急時のアシスタントが到着し、被害者は、数分後に近くの病院に運ばれた。
対策 今回の事故は、会社が、サービス・ブレーキ・システムの作業手順書を設定していないことから、起こったもので、まず、始めに作業手順書の作成が必要と思われる。その作業書には、サービス・ブレーキの定期的な点検を含むべきであると思われる。
知識化 今回の事故は、ディリー・ピット工場で、必要とされているローダーのサービス・ブレーキ・システムに対しての作業手順書が作成されていないことから、サービス・ブレーキの点検、検査、維持がなされていない為に起こっているので、早急に作業手順書を作成する必要がある。又、作成後に、その手順書に沿って必要なブレーキ・システムの点検、検査、維持のトレーニングを行う必要があると思う。
背景 この工場は、工場の作業が開始された時点で、その旨を、適切な政府行政機関に通知していなかった。
後日談 1月14日に、オーダー7914062号がセクション103(K)の規定の下に、今回事故を起こした砂利採掘所に出され、機械の修復、又は砂利採掘所が通常作業にもどれる様になった2月11日まで作業は停止された。又、1月23日には、召喚状6268669号が出され、サービス・ブレーキ・システムの修理が完了した、2月11日にこのオーダーは解除された。
データベース登録の
動機
鉱山業は、古くからある産業なので、事故に対する首尾は万全なものと思われるので、どの様な事故が起こったのか、個人的に興味があった。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、教育・訓練不足、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、使用、運転・使用、手順、機能不全、ハード不良、定常動作、誤動作、破損、大規模破損、衝突、身体的被害、死亡、組織の損失、経済的損失
情報源 http://msha.gov/FATALS/2002/FTL02m02.HTM
死者数 1
分野 機械
データ作成者 ヤエココン (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)