失敗事例

事例名称 アリアン5型ロケットが制御不能で40秒後に爆発
代表図
事例発生日付 1996年06月04日
事例発生地 フランス領ギアナ、クールー
事例発生場所 欧州宇宙機関(ESA)の発射基地
事例概要 1996年6月4日、フランス領ギアナの宇宙センターからヨーロッパ最新の無人サテライト発信ロケットが打ち上げられた。しかし、打ち上げ後約40秒後に爆発した。これは慣性座標システムのソフトに仕様と設計のエラーが生じて、誘導および姿勢情報を完全に失ってしまったからである。
事象 1996年6月4日、フランス領ギアナの宇宙センターからヨーロッパ最新の無人サテライト発信ロケットが打ち上げられた。しかし、打ち上げ後に経路をそれ、爆発した。
経過 アリアン5号は打ち上げ後、約30秒後に誘導および姿勢情報を完全に失い、経路をそれ、約40秒後に高度約3700mの空中で方向を変え、爆発した。破片か火の粉となって、降りてきたが、ほとんどがマングローブや海上に落ち、煙は風にふかれて海方向へ流れていった。
原因 このロケットは打ち上げから約30秒後に誘導姿勢情報を完全に失った。これは、慣性座標システムのソフトに仕様と設計のエラーによるもので、このエラーは、ロケットの水平速度に関連する64ビット浮動小数点を16ビット符号付整数へ変換する際、数字が16ビット符号付整数として保存できる最大値の32,768を超えてしまい、変換が失敗に終わった。
知識化 あらゆる状況が起こる可能性を見極めることが非常に重要である。細かい部分も、どのような状況がおこりえるかを考慮する必要がある。
背景 事前にこのような計算ができたのではないかと思われるが、これはアリアン号初の打ち上げであったので、未知の部分も多々あったかとも思われる。
後日談 1998年10月21日、アリアン5号の打ち上げに成功し、ダミー衛星が軌道に投入された。
よもやま話 フランスの教育研究省は、1998年12月1日、米国と共同で火星探査計画を進めていることを明らかにした。2005年8月にはフランス領ギアナ、クールーにある欧州宇宙機関(ESA)の発射基地から火星に向けて「アリアン5号」ロケットを打ち上げ、「アリアン5号」ロケットに搭載される探査機は、翌2006年7月に火星の軌道に到達する予定。この探査機には、火星の組成調査を行ったり火星の岩石を採取する、米航空宇宙局(NASA)の着陸用車両やロボットが含まれる。
当事者ヒアリング A社C氏は「非常に残念だが、これをばねにして飛躍しなければならない。これで人生が終わるわけではない。」と語った。
データベース登録の
動機
大きな期待と費用がかけられたプロジェクトが失敗に終わったが、そこからの飛躍が後にあったために取り上げた。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、仮想演習不足、未知、異常事象発生、爆発、崩壊
情報源 http://www.cnn.com/WORLD/9606/04/rocket.explode/
http://www.ima.umn.edu/`arnold/disasters/ariane.html
http://spaceboy.nasda.go.jp/news/j/flash_199812_j.html
死者数 0
負傷者数 0
物的被害 ロケットおよび積荷
被害金額 ロケットおよび積荷5億ドル
全経済損失 10年にわたる開発費用70億ドル
分野 機械
データ作成者 タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)