失敗事例

事例名称 花火保管倉庫で花火が爆発し多数の死傷者を出す
代表図
事例発生日付 2000年05月13日
事例発生地 オランダ東部のエンスヘデ
事例発生場所 SE花火保管倉庫
事例概要 オランダ東部の都市エンスヘデの花火保管倉庫で大爆発が起き、住民や消防士など少なくとも20人以上が死亡、900人以上が負傷した。
事象 オランダ東部のエンスヘデにある花火のSE保管倉庫で火災を伴う大規模な爆発が発生した。この事故により少なくとも20人が死亡、900人以上が負傷すると言う、過去25年において西ヨーロッパで起きた産業事故の最大規模とも言われる事故となった。工場には約100トンの火薬が貯蔵されていた。損害は8900万ドルに及ぶ。
経過 現場は住宅街の一角にある倉庫群の一部から出火し、中国産の花火約200トンを保管した倉庫に延焼、爆発が発生した。好天の土曜日の午後ということもあって屋外に出ていた住民も多く、被害者の多くが爆発によって壊れたブロック、ガラスなどの直撃を受けた。これらの破片は数キロにわたって飛び散り、住宅街に広がった火災も同日夜まで燃え続けた。被害を受けた住宅は400棟以上に及び、約1000人の住民が住居を失うと言う、オランダでは第2次世界大戦以来の大惨事となった。
原因 倉庫の所有者による放火の疑いがある。
対処 エンスヘデはドイツ国境まで5キロ足らず。人口15万ほどの規模のため消火活動や被害者の病院搬送に限界があり、ドイツからも消防隊が越境出動した。被害者の一部はオランダ軍基地にも収容された。
対策 欧州委員会は、当事故後、危険産業施設において欧州連合法を再確認する考えを打ち出した。EUのセベソII指令の迅速な修正をする見通しである。セベソIIは、1982年に制定された法律に変わって、1999年4月から実施されはじめた。オランダは現在このセベソIIの法律が適用されない4カ国のうちの一つである。
知識化 都市地域に隣接した危険物資の取り扱い施設において、厳しい安全対策規律が必要である。
背景 不明。
後日談 事故が起こった翌週、花火倉庫の共同所有者の一人である、イレム・ペーター容疑者が花火の保管規制違反及び放火罪の疑いで逮捕された。もう一人の共同所有者はまだ見つかっていない(2000年5月19日記事)。
データベース登録の
動機
住宅街に花火のような危険物が100tも保管されていた危険性を知らせるため。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、組織運営不良、管理不良、物質間反応、爆発、機械的連鎖反応、建設
情報源 http://ens.lycos.com/ens/may2000/2000L-05-18-04.html
http://news.bbc.co.uk/hi/english/world/europe/newsid_755000/755743.stm
死者数 17
負傷者数 946
物的被害 400棟以上の家屋が被害を受けた。
被害金額 89400600
社会への影響 何故花火のような危険物が住宅街の倉庫に100tも保管されていたのか、オランダ住民の間で不安が募っている。
備考 13名の住民が未だ行方不明(2000年5月19日記事)
死亡者数のうち4名は消防士
分野 機械
データ作成者 ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)