失敗事例

事例名称 未反応部分が反応して複写機の樹脂製ガイドにそりが発生した
代表図
事例概要 複写機の定着ユニット(紙上のトナーを熱と圧力で定着するユニット)で、紙をガイドする樹脂製ガイド板が、図2のように、そり始めた。その変形量は時間とともに大きくなっていった。ガイド板の材料はPET(ポリエチレンフタレート、ガラス入り)で、成形時の金型温度がメーカー推奨値(100~120℃)以下の70℃だったので、未反応の部分が成形物に残り、定着ユニットの高温環境下での使用で加熱されて反応が進行したものである。金型温度を修正して、再度成形した。
事象 複写機の樹脂製ガイドにそりが発生した。
経過 複写機の定着ユニット(紙上のトナーを熱と圧力で定着するユニット)で、紙をガイドする樹脂製ガイド板が、図2のように、そり始めた。その変形量は時間とともに大きくなっていった。
原因 ガイド板の材料はPET(ポリエチレンフタレート、ガラス入り)で、成形時の金型温度がメーカー推奨値(100~120℃)以下の70℃だったので、未反応の部分が成形物に残り、定着ユニットの高温環境下での使用で加熱されて反応が進行した。
対策 金型温度をメーカー推奨値に修正して、再度成形した。
知識化 使用条件を考慮した設計、および生産技術上の検討が必要である。なお、定着ユニットにはPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PAI(ポリアミドイミド)などの材料を用いるが、成形後にポストキュアやアニールなどの処理で、成形後の変形を防止する。これは未反応部分を反応させるほかに、残留応力除去の効果も持つ。
背景 成形ショット直後は、そりが少なく検査に合格してしまった。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、調査・検討の不足、事前検討不足、予期せぬ使用環境、ポリエチレンフタレート(PET)、計画・設計、計画不良、製作、ハード製作、製造工程、射出成形、使用、運転・使用、不良現象、熱流体現象、熱、温度管理、不良現象、化学現象、物質間反応、機能不全、ハード不良、機械・装置、稼動条件、動作不能
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.そりが発生した樹脂製ガイド
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)