失敗事例

事例名称 厚板半円筒部材の溶接時、音響とともに亀裂が発生した
代表図
事例発生場所 工場生産ライン
事例概要 厚板をロール圧延後、900℃で焼き鈍し(やきなまし)した。それを100~150℃で予熱しながら半円筒部材を、プレス曲げ加工した。最後に長手方向に溶接したところ、音響とともに内面の溶接部近傍の母材部に亀裂が発生した。厚板の曲げ加工で、大きな残留応力が残るとともに加工硬化で靱性が低下したことが原因である。対策として、溶接の前に焼き戻して、残留応力を除去し靱性を回復させた。
事象 ロール圧延の厚板半円筒部材の溶接時、音響とともに亀裂が発生した。
経過 厚板をロール圧延後、900℃で焼き鈍し(やきなまし)した。それを100~150℃で予熱しながら半円筒部材をプレス曲げ加工して、最後に長手方向に溶接した。ところが図2のように、音響とともに内面の溶接部近傍の母材部に亀裂が発生した。
原因 厚板の曲げ加工で、大きな残留応力が残るとともに加工硬化で靱性が低下した。
対策 溶接の前に焼き戻して、残留応力を除去し靱性を回復させた。
知識化 大きな残留応力や加工硬化で靱性低下した状態で溶接すると、溶接がもたらした熱応力で、ロール加工傷やプレス加工傷などを起点として、脆性破壊を起こすことがある。
背景 製造時の残留応力を考慮して、強度を評価することが大切である。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、過去情報不足、教育・訓練不足、鋼板、圧延ロール、製作、ハード製作、製造工程、焼鈍処理、曲げ加工、焼鈍処理、不良現象、機械現象、継手、溶接部位、溶接継手、残留応力
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.厚板半円筒部材の溶接時の亀裂
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)