失敗事例

事例名称 時計のボタン操作が不可能となった
代表図
事例発生場所 工場検査工程
事例概要 時計の落下テストでボタン操作が不可能となった。図2(b)のように、ストッパー(度決めと称する)にスイッチレバーが当った時、余裕が50μmしかなかった。落下の慣性でスイッチレバー自体が変形し、ストッパーから外れたことが原因であった。対策として、スイッチレバークリックバネにストッパーを新たに設けた。
事象 時計の落下テストでボタン操作が不可能となった。
経過 図2(a)のように、ボタンを押すと、スイッチレバーが支点Bを中心に回転し、次にそれがスイッチレバークリックバネを支点Cを中心にして回転させる機構を設計した。ところが時計の落下テストで、何かの拍子にボタン操作が不可能となることが判明した。分解してみると、スイッチレバーが回りすぎてストッパーから外れていた(係合はずれと称する)。
原因 ストッパーの外れまでの余裕が50μmしかなく、落下の慣性でスイッチレバー自体が変形し、スイッチレバーがストッパーから外れた。
対策 図2(c)のように、スイッチレバークリックバネにストッパーを新たに設けて、スイッチレバーがストッパーから外れないようにした。
知識化 落下テストなど、試験条件における加速度による変形を考慮に入れて設計する。
背景 1cm上からでも物を落とすと1G程度(10Gだと言うひともいる)の加速度が生じて、思わぬ失敗をする。製品の中で最もやわらかいところが振動して何回も叩かれる。極端な例では、工場の中を台車で運ばれただけで傷がつくこともありうる。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、企画者不注意、誤差設定不適、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、手順、試験、材料的要因、塑性変形、不良現象、機械現象、相互運動部、組合不良、外れる
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.スイッチレバーの係合はずれとその対策
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)